農園

なぜITエンジニアがトマト農家に?転職を決意するまで

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どうしてトマト農家に?

これまで何度も聞かれてきた質問です。私自身、昔から農業を夢見ていたわけではありません。けれども、人生には“きっかけ”と“決断”のタイミングがあるものです。

前回の記事「はじめまして」に続いて、今回は少しだけ、わたしがなぜ農業の道を選んだのかをお話ししたいと思います。

ITエンジニアとしての働き方に、違和感を抱き始めた

私はもともと、ITエンジニアとして働いていました。
日々パソコンと向き合い、システムの保守、クライアント対応……。職場にも恵まれ、やりがいも感じていたのですが──、

でも、あるときからふと、画面の中で一日が終わる日々に「このままでいいのかな」という思いが頭をよぎるようになったんです。

東日本大震災で気づいた「近くにいない悔しさ」

2011年、東日本大震災。
当時私は福岡市で働いていましたので被害はなく、家族が住む山口県下関市も地震の影響はありませんでした。

でもそのとき、強く感じたんです。
「いざという時、自分は“近くにいられない”んだ」と。

それまで頭の片隅にあった「地元に戻る」という考えが、はっきりと「そうしたい」という想いに変わった瞬間でした。

家族に打ち明けた日。

退職を決めたとき、私は家族に思いを打ち明けました。

「農業をやりたい。」と。

ですが、すぐに賛成の声が返ってきたわけではありません。
むしろ父を含め、家族のほとんどが猛反対でした。

「お前にはやっていけない」
「そんな覚悟があるのか」

家族を心配してくれるからこその言葉だったと思います。けれど、私の覚悟は揺らぎませんでした。

そんな中で、唯一、兄だけが「やってみたらいい」と背中を押してくれました。

「やるなら応援するよ」

その一言が、私にとっては本当に大きな支えになりました。たとえたった一人でも、信じてくれる人がいる。そう思えたから、次に進む決意が固まったのです。

ITの知識が農業にも生きるとわかった

最初は右も左もわからない毎日でした。まさしく「畑違い」です。
農業にはITのような、再現性・即時性は全くありません。データどころかマニュアルも無い。機会も無い。全て人の手で行う作業。「経験と勘のみ」の世界。あぁ、このままではやっていけないな・・・と数年模索する中で出会った「環境制御」と言う技術。

「これならITの知識を農業に活かせるぞ」と。

たとえば、温度・湿度・CO2・日射量・積算気温の記録や、出荷時期のデータ分析。
これまでの経験や勘に加えて、数字で裏づけしながら栽培方法を少しずつ改良しています。
作業効率を上げたり、品質を安定させたりするヒントがたくさんあります。

データ一覧
グラフ解析

「やってよかった」と思える毎日

大変なこともありますが、農園での毎日はとても充実しています。
収穫したてのトマトを、お客さまが「美味しい!」と言ってくださる。
その声を直接聞けるのも、農業ならではの喜びです。

何より、家族と同じ空の下で暮らしていること。
あのとき感じた「そばにいられない悔しさ」とは、もう無縁です。

【まとめ】迷ったけれど、後悔のない選択

農業の道を選んだことは、決して簡単な決断ではありませんでした。
でも、迷って、悩んで、それでも選んだこの道に、今はとても満足しています。

これからも、家族と力を合わせてトマトを育てていきます。
そして、ここでの暮らしや想いを、このブログで発信していけたらと思っています。